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情熱と気楽さ

読んだ本、観た映画

「親愛なる」

親愛なる

親愛なる

物語はいとうせいこうから出されたメールの返信で始まる。
特定のひとりに返信したはずのメールは、何故か不特定多数に配信されているようで、返信すればするほどメールを送受信しているらしき人は増え、カオスがさらに拡がっていく中で、著者はメールを通して小説を披露していくことになる。
その小説は近未来の韓国を舞台としたもので、人々は脳内チップによる言語統制を受けているらしく…………

といった出だし。
読み始めでは「なにこれ? なんだこれ?! こんな小説読んだことない!」とドキドキしつつ、「近未来のストーリーと、この不思議なメールのやりとりはどんな具合に決着するんだろう? ほんとにきちんと決着するのかこれ??」と頭をフル回転させつつ読む。


読んでる途中で、この小説が元々は参加者登録している人に向けてメールで配信されたもので、配信する際には参加者の個人情報を入れ込んでいた(主人公の名前や、最寄りの路線や駅名など)ということを知り、「なるほど、小説とPBM(=Play-by-mail game)の中間みたいなものだったんだな」と、ようやく合点がいった。


得体の知れない世界観や、美しくて謎多き美女ソンメジャの謎過ぎる振舞い(それより更に謎過ぎたのはキムの方だと思うけど)にぐいぐい引き込まれていった前半に比べて、後半に行けばいくほど「あー、作者さん、音楽好きだからな……」「あー、きっと韓国で伝統舞踊見て感動しはったんやな……」「多分これ、ものすごくわかりやすくは決着しないで終わるな」とか考えてる部分が、物語の中に熱中する部分より大きくなってしまった。

ラストは更に謎めいた情報が呈示されたけど、多分これ、隅から隅まで対応されてる何かがあるわけじゃないよね、と勝手に結論づけて、あれこれ頭を悩ませることなく、あっさり読み終わることにした。


2014年には各個人の情報を使ってパーソナライズしたオンデマンド書籍として販売したこともあったそうで、そのバージョンや、あるいは元々のメール配信で読んだならまた違う感想になったかなあ、とも思う。


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