読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

情熱と気楽さ

読んだ本、観た映画

「プリズン・ブック・クラブ」

小説以外

プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年



カナダの女性ジャーナリストが、刑務所の中で行われた読書会にボランティアとして関わった一年間の記録。

麻薬、強盗、殺人、恐喝…………様々な罪で収監されている人達が、同じ本を読み、それぞれの経験や感受性を通して、その人その人の感想・意見を述べあう。

読書会で選ばれる本は児童虐待などの重いテーマを扱ったものが多かったけど、それを毎月読み込んで参加するのは容易ではないだろうな、と思ったし、ともすれば掴み合いの喧嘩に発展してもおかしくないはずの人種差別に関する話題についても、参加者(=受刑者)たちがつとめて冷静に話し合おうとしている姿には、それだけでも感動したし、尊敬もした。

ある受刑者が第二次世界大戦の歴史的背景をかなり詳しく理解・把握しているという描写のところでは、私自身は世界はおろか、日本の当時の状況さえきちんと把握してるとは言えないなあ、と改めて思った。


この本の中で特に面白かったのは、様々な人がそれぞれの体験に照らし合わせて「自分自身の」感想や意見を述べること。
そして、お互いの感想、意見を聞いて、またそれぞれの中に反射させて、自分のものにして、また改めて言葉にする。
そういうやりとりが、とても素晴らしいものに思えた。


「その場しのぎの、ただおもしろいだけの小説にはもう興味がない。著者が何を考えてるか、どんな言葉を使ってるか、どんな語り口で表現してるかを知りたいんだ。俺がこれまで読んだシドニィ・シェルダンとか、ファンタジーとか、おとぎ話とか、そういうふつうじゃない人間の話でなくてもいい。現実的な人生の話でいいんだ」

これは読書会に参加していたある受刑者の言葉だが、この言葉は、私にも刺さった。
私もずっと、このところモヤモヤしていたから。
映画も、小説も、エンターテイメント性の高いものを観がちだったけど、それらには飽きてしまっているのを感じていた。

人を引き込むためのよくある「テクニック」で描かれているものだけではもう飽き足らない。
もっと違うものが味わってみたい、と感じていた。
それがどんなものなのかは、自分にはまだよくわかっていなかったけど、この言葉は私に少しヒントをくれたような気がする。

とりあえず、この受刑者もやっていたように、私も古典作品を読んでみることにしよう。
それに、この本のなかで取り上げられていた本も色々読んでみたい。


あと、この本でもうひとつ素晴らしかったのは、カナダの美しい自然の描写がふんだんに盛り込まれていたこと。
章ごとに挟み込まれる季節の移ろいが綺麗だった。



にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村