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情熱と気楽さ

読んだ本、観た映画

想像ラジオ

小説

 

想像ラジオ (河出文庫)

想像ラジオ (河出文庫)

 

 

氏神のくだりとラストは泣けた。

 

死者だけが現れ、生者と死者の物語を紡ぐ。

びっくりするほど爽やかだった。

想像ラジオのジングルが聴こえてきそうな気さえする。

 

 

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「私を離さないで」

小説

静かな物語だった。
あまりにも静かだったせいで、何を書けばいいのか言葉も浮かんでこない。

市川春子の「虫と歌」というマンガを思い出した。



よくある小説ならこうなるんだろうな、という予想とは悉く違う展開と表現。
何故違うんだろうな、と考えながら読む。
私が「小説ならこうなるだろう」という基準にしているのが、日本やアメリカの(一部の)エンターテイメント小説の造りだからなんだろうか。
それとも他に理由があるんだろうか。


キャシーが人形を抱きしめ、踊っていた幼い頃、すでに彼女はすべてを知っていた。

彼らの人権を守ろうとする人が居ない世界の中で、幼い頃のトミーだけがまともだったようにも思う。


虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)

虫と歌 市川春子作品集 (アフタヌーンKC)


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「仏果を得ず」

小説

三浦しをんの本はこれまでに「まほろ駅前多田便利軒」「風が強く吹いている」を読んだことがある。
どの本の時にも思ったことだが、なかでも一番、この本が「登場人物の動きやしぐさの現しかたがマンガみたい」だと思った。銀太夫師匠など特に。

「風が強く吹いている」も、この「仏果を得ず」も、あまり知られてない文化・世界の裏舞台を書いている。
「風が強く吹いている」は、私自身が長距離陸上を見るのが好きで、箱根駅伝も馴染み深いものだったので、比較的おもしろく読めた。
「仏果を得ず」が舞台とする文楽を、私はまともに見たことはない。


冒頭から読んでも読んでも、なかなか物語の中に入っていけない。

これは私が文楽を知らないからなんだろうか?
でも、この作品と同じく、馴染みのない古典芸能を扱った成田美名子のマンガ「花よりも花の如く」にはとても引き込まれたし、主人公達が取り組む能楽にも興味を抱いたりもした。

「仏果を得ず」では、構成として、登場人物たちの状況や心情と、その時課題として扱っている文楽作品の中のそれとを似たような境遇に置いて、対比し、主人公に気づかせ、壁を乗り越えさせる手法が取られている……

……のだろうな、とは思うのだけど、文章ではそう書いてあるのだけれど、どうにも「文楽の物語の世界や心情」と、「主人公をとりまく世界や心情」が、ずーっと並べて置かれながら、「物語の主人公と自分は同じだ」と主人公の健に言葉で語らせながら、それでもひとつに成りきらずに、解離したままふよふよ浮かんだままになっているようで、どうにも居心地が悪かった。

「花花」では見事にハマっているその手法が、「仏果を得ず」ではハマっていないように感じるのは何故なんだろう、と、ずっと悩みながら読み進んだ。
マンガと小説の違いなのか。
作者が違うからなのか。
それとも私に三浦しをん作品から何かを受けとる感性が欠けているのか。

物語が解離したまま続く気持ち悪さは、最後の「勘平腹切の段」でようやく解消される。
あの場面はよかった。健の視点が勘平の視点に溶け込んだりまた現れたりする。長々と感じていた居心地の悪さが、そこのところでようやく消えた。


あと、細かいところでは、健や誠二の生い立ちが紹介される場面、ずいぶん唐突じゃないか? と戸惑った。
もっと以前に少し匂わせることが出来る場面はあったのに、なんでやらなかったんだろう。
あるいは、置かれた匂袋に私が気がつかなかっただけなんだろうかな。
もう少し軽く伏線めいた書き方がしてあれば、私は楽しく読めたかもな、と思った。




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「親愛なる」

小説

親愛なる

親愛なる

物語はいとうせいこうから出されたメールの返信で始まる。
特定のひとりに返信したはずのメールは、何故か不特定多数に配信されているようで、返信すればするほどメールを送受信しているらしき人は増え、カオスがさらに拡がっていく中で、著者はメールを通して小説を披露していくことになる。
その小説は近未来の韓国を舞台としたもので、人々は脳内チップによる言語統制を受けているらしく…………

といった出だし。
読み始めでは「なにこれ? なんだこれ?! こんな小説読んだことない!」とドキドキしつつ、「近未来のストーリーと、この不思議なメールのやりとりはどんな具合に決着するんだろう? ほんとにきちんと決着するのかこれ??」と頭をフル回転させつつ読む。


読んでる途中で、この小説が元々は参加者登録している人に向けてメールで配信されたもので、配信する際には参加者の個人情報を入れ込んでいた(主人公の名前や、最寄りの路線や駅名など)ということを知り、「なるほど、小説とPBM(=Play-by-mail game)の中間みたいなものだったんだな」と、ようやく合点がいった。


得体の知れない世界観や、美しくて謎多き美女ソンメジャの謎過ぎる振舞い(それより更に謎過ぎたのはキムの方だと思うけど)にぐいぐい引き込まれていった前半に比べて、後半に行けばいくほど「あー、作者さん、音楽好きだからな……」「あー、きっと韓国で伝統舞踊見て感動しはったんやな……」「多分これ、ものすごくわかりやすくは決着しないで終わるな」とか考えてる部分が、物語の中に熱中する部分より大きくなってしまった。

ラストは更に謎めいた情報が呈示されたけど、多分これ、隅から隅まで対応されてる何かがあるわけじゃないよね、と勝手に結論づけて、あれこれ頭を悩ませることなく、あっさり読み終わることにした。


2014年には各個人の情報を使ってパーソナライズしたオンデマンド書籍として販売したこともあったそうで、そのバージョンや、あるいは元々のメール配信で読んだならまた違う感想になったかなあ、とも思う。


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「プリズン・ブック・クラブ」

小説以外

プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

プリズン・ブック・クラブ--コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年



カナダの女性ジャーナリストが、刑務所の中で行われた読書会にボランティアとして関わった一年間の記録。

麻薬、強盗、殺人、恐喝…………様々な罪で収監されている人達が、同じ本を読み、それぞれの経験や感受性を通して、その人その人の感想・意見を述べあう。

読書会で選ばれる本は児童虐待などの重いテーマを扱ったものが多かったけど、それを毎月読み込んで参加するのは容易ではないだろうな、と思ったし、ともすれば掴み合いの喧嘩に発展してもおかしくないはずの人種差別に関する話題についても、参加者(=受刑者)たちがつとめて冷静に話し合おうとしている姿には、それだけでも感動したし、尊敬もした。

ある受刑者が第二次世界大戦の歴史的背景をかなり詳しく理解・把握しているという描写のところでは、私自身は世界はおろか、日本の当時の状況さえきちんと把握してるとは言えないなあ、と改めて思った。


この本の中で特に面白かったのは、様々な人がそれぞれの体験に照らし合わせて「自分自身の」感想や意見を述べること。
そして、お互いの感想、意見を聞いて、またそれぞれの中に反射させて、自分のものにして、また改めて言葉にする。
そういうやりとりが、とても素晴らしいものに思えた。


「その場しのぎの、ただおもしろいだけの小説にはもう興味がない。著者が何を考えてるか、どんな言葉を使ってるか、どんな語り口で表現してるかを知りたいんだ。俺がこれまで読んだシドニィ・シェルダンとか、ファンタジーとか、おとぎ話とか、そういうふつうじゃない人間の話でなくてもいい。現実的な人生の話でいいんだ」

これは読書会に参加していたある受刑者の言葉だが、この言葉は、私にも刺さった。
私もずっと、このところモヤモヤしていたから。
映画も、小説も、エンターテイメント性の高いものを観がちだったけど、それらには飽きてしまっているのを感じていた。

人を引き込むためのよくある「テクニック」で描かれているものだけではもう飽き足らない。
もっと違うものが味わってみたい、と感じていた。
それがどんなものなのかは、自分にはまだよくわかっていなかったけど、この言葉は私に少しヒントをくれたような気がする。

とりあえず、この受刑者もやっていたように、私も古典作品を読んでみることにしよう。
それに、この本のなかで取り上げられていた本も色々読んでみたい。


あと、この本でもうひとつ素晴らしかったのは、カナダの美しい自然の描写がふんだんに盛り込まれていたこと。
章ごとに挟み込まれる季節の移ろいが綺麗だった。



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感想ってほどでもない何か(小説編)

小説

ほとんどの作家の小説を読んだことのない状態なので、まずは児玉清の書評を読んだり、古本屋で複数作家の短編小説をまとめた文庫をいくつか買ってみたり、小橋めぐみの「恋読」を読んでみたり、斎藤美奈子の「文壇アイドル論」に目を通したりしてみた。
これまで同様に自分に染み付いた好みや手癖で選んでは、今現在の私が満足出来る本には巡り会えないんじゃないかな、と思ったからだ。


書評を書ける人というのは皆それぞれすごいな、と思うのだが、児玉清はどの本からも「小説への愛」がほとばしってくるようで、しかも少し古めかしい感じの名調子が心地良い。
小橋めぐみの「恋読」はとても爽やかで素直な印象を受けた。掲載されている本を自分も読んでみたいと思った。
斎藤美奈子は、どの本に対しても思うことだが、とても頭のいい人だな、と。歯に衣着せずばっさばっさと切り刻んでいくには、相当の覚悟というか、胆力が要るだろうな、と思いつつ読んだ。



で、ここ一ヶ月ほどの間に読んだ小説は以下の通り。


「生首に聞いてみろ」法月綸太郎
「その人死なせる必要ってあるの?」の一言に尽きる。
いや、ミステリーをより完璧にするためには必要なんだろうけど。
しかしハリー・ポッターでさえ「このキャラが死んでしまう意味がわからない」と思った4巻で、バッサリと読むのをやめてしまった私なので、どうにもそこは気になってしまうポイントのようだ。
法月綸太郎を読むのは初めてだったけど、思っていたより硬派な文体だな、と思った。


「弘海 息子が海へ還る朝」市川拓司
児玉清が紹介してなかったら絶対読まなかった。
というか、紹介されているのを読んでも「ああ、多分難病を患って早くに死んだ子供とその親の話なんだろうな」と早合点して、実際には手に取るつもりもなかった。
なのに、図書室でひょっこり見つけてしまって、自分の見立てが本当にあってるかを確かめるつもりでパラパラ読んでみたら、結局最後まで読みきってしまった。
とても読みやすくて、爽やかな物語。
海外から様子を見に来た、教授のサポートをしている若者のセリフが印象に残った。


「短編工場」集英社文庫編集部編
12名の著名な作家たちの短編小説を集めた文庫。
伊坂幸太郎石田衣良宮部みゆき村山由佳乙一も(他の名前も知らなかった作家も)、この本で初めて読んだ。
奥田英朗「ここが青山」と伊坂幸太郎「太陽のシール」がおもしろかった。浅田次郎と方言で語られてるものは読み飛ばした。


精霊の守り人上橋菜穂子
やっと読んだ。
以前一度買ったことはあったのだけど、水妖に取り込まれたまま水に沈む王子の描写から始まってて、それがかったるくて読まないまま手放してしまった記憶があるのだけど、今回読んだものはいきなりバルサが王子を助けるところだった。
以前読んだものは他の巻だったのか? それともバージョンが違うのかな。
なんにせよ今回はおもしろく読めた。
NHK綾瀬はるかがやってたドラマは観たことがあるのだけど、少し筋が違うのだな。他の巻も読み進めてみないとわからないけど、帝と星導士の書き分けの違いが今後どうストーリーに影響するのか楽しみ。



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感想ってほどでもない何か(映画編)

映画

シン・ゴジラ以降に観た映画に関しての備忘録。

 

君の名は。

一応観た。冒頭のニュースで後々重要になる情報が流れるというパターンには、個人的にはいい加減飽きが来てるので「またか」と思う。

かなり早い段階でストーリーは見えてしまうので、もう一捻りあるのかと思って見てたけど、無いまま終わったのでちょっと肩透かし。

悪くはないけど、人気が高かったため、色々勝手に期待しすぎたらしい。

 

「怒り」

面白かった。

役者さんが本当に皆凄かった。

中でも宮崎あおいの演技に引き込まれた。

松ケンと綾野剛が癒し。

どこに落としどころを持っていくんだろう、と思いつつ見てたけど、あのラストが最適解のような気がする。

 

 

ゴジラ(初代)」

シン・ゴジラを観た後に見てみた。「あー、これが元ネタだったのか!」というポイントがてんこ盛りで楽しめた。

この映画もゴジラが怖くて「畏怖するべきもの」としての存在感が凄かった。

 

機動警察パトレイバー」劇場版

「生きてりゃもう一回くらいやれるさ」のところだけ見かけて「何それオモシロソウ」と20年以上前に思ったものの、まだ見てなかったシーンを探す。

マンガは全巻持ってたことがあるけど、TVバージョンは好きになれなかったため、劇場版も初見。

結局、件のシーンは劇場版ではなくTVの「二課の一番長い日」だったとわかる。

 

押井守監督の映画って、野良犬と鳥がしょっちゅう出てくるな~と思いつつ見る。

起こる事件はものすごく大きいのに、どこか遠い出来事というか、リアリティが感じられないままするすると進む感じだった。

この作品が作られた頃は日本はまだ平和だった。

戦争なんか起こりそうにもなくて、平和に膿んでる世代もいた。

今はもう、そんな時代からも遠くなってしまったと感じる。

 

スター・トレック

スター・トレック イントゥダークネス」

近々公開される3作目が観たいな~と思って、先に前作を観ておくことに。

数分に一度は爆発が起こる、とてもハリウッドらしいSF。

どちらの作品にもナイスバディなお姉さんの下着姿が出てきたけど、ストーリー的にそのシーン要らなかったのでは? とツッコミ入れたくなる。

個人的に、かつてのスタートレックでスポック役をしていた役者さんが、年老いたスポックの役として登場していてとてもうれしく思った。

登場人物たちのキャラ設定が、本当にスペースオペラの王道だなあ、と感心しつつ観た。

特にイントゥダークネスで感じたことだけど、ストーリー展開が「よくあるパターン」(喧嘩別れした仲間が別行動した先で重要な役割を果たすとか、不必要に見える血の万能性エピソードが後で意味をもつとか)多すぎて、先が読め過ぎるのはハリウッドエンタメ映画にありがちなつまらなさに思えて、今はちょっと、次回作は劇場で観なくてもいいかな、みたいな気分になってる。

Mr.スールーとカンバーバッチはカッコよかった。

 

 

 

 

 

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